NIPT情報関連

ダウン症の親になるということ

ダウン症の子を育てる未来

遺伝子疾患の中でももっとも多いのが、ダウン症です。

人の体、細胞には通常22対の染色体が存在していますが、このうち21番目の染色体が3本になってしまうことで発症するのが、21トリソミーと呼ばれるダウン症候群。染色体異常のため発生を抑えたり治療することはできず、多くは流産や死産となり、実際に生まれることができるのは2割ほどです。

無事に生まれることができても、先天性心疾患や知的障害、筋力が弱いなど、さまざまな症状があらわれますが個人差が大きく見られます。成長とともに普通学級に通う子、特別支援学級に通う子、それぞれの状況に合わせた治療やサポートを受けることで、生活も難しくはありません。

ダウン症は寿命も50~60歳と長くなっており、さまざまな分野で活躍している著名人も多くいます。ただ、実際に子育てをするお父さん・お母さんにとっては、乗り越えなければならない壁がいくつもあるでしょう。もしも我が子がダウン症だったら…と考えたとき、どのような選択をすれば良いのでしょうか。

NIPTを受ける目的とは?

ダウン症のような遺伝子疾患は、お母さんのおなかの中にいるときに調べることができるようになっています。

  • 出産時に35歳以上になる方
  • ダウン症など遺伝子疾患に大きな不安がある方
  • 他のお子さんに遺伝子疾患がある方
  • これらの条件に当てはまる方が対象となります。

NIPTを受ける方は年々増えていますが、その目的は病気や異常を見つけることではなく、その先にあるのではないでしょうか。万が一ダウン症をはじめとして遺伝子疾患の疑いがあったり病気が見つかったりした場合、赤ちゃんへの負担を減らしたり、最適な出産方法や育てていくための環境作りを行っていくことが真の目的です。時に、NIPTが「命の選別」と言われることもありますが、本来の目的はそうではないのです。

ダウン症は21番目の染色体に異変があることで起こる「21トリソミー」という疾患ですが、他にもNIPTで調べられる13トリソミーや18トリソミーに比べると出生率も生存率も高いのが特徴となっています。21トリソミー(ダウン症)は約1000人にひとりの割合で起こり、高齢出産になるほどその割合は高くなる傾向にあります。

参照:EUROPEAN JOURNAL OF PEDIATRICS(欧州小児科学誌)

【https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2962780/】

NIPTを受けて異常ありと診断された場合、つまり「陽性的中率」が高い結果が出た場合には、そのうちの9割が中絶という道を選んでいることがわかっています。陽性的中率とは、NIPTを受けた結果「検査で陽性と判定され、確定診断を行って実際に病気だった確率」のことを指します。

NIPTの結果ダウン症だと診断されると、果たしてこの検査を受けてよかったのかと悩む方も少なくありません。ただ、前述のとおりNIPTを受ける目的は、万が一病気が見つかったときのために「備える」ことです。もちろん、中絶という道を選ぶ方も多い一方、その事実を受け入れて最善の方法で出産に臨み、最善のサポートを受けるべく準備を行う方も多いことを知っておいてください。

ダウン症の親になる、不安を解消するために

ダウン症は、個人差がありますがさまざまな合併症が起こり得る疾患ですし、いくら寿命が延びているとはいえど、未来がどうなるのかを予測することはできません。

親である自分たちがいなくなったら、この子はどうなるの?通院や療育でどれくらい費用がかかるの?成長はどうなるのか、きちんと学校に行けて就職はできるの?

さまざまな思いが、絡み合うでしょう。ただ、これらの課題についてひとつずつ不安を取り除き、解決していくのがNIPTを受ける際の「カウンセリング」です。

我が子がもしダウン症であると考えたとき、どのような不安が生まれるのか。ダウン症について正しい知識を身に着けて理解し、これから始まる子育てについてしっかりと向き合うために行われるのがカウンセリングです。

出産・子育てへの不安を解消するにあたり、よく挙げられる不安について見てみましょう。

費用について

合併症が起こりやすく、出産直後から成長過程、成人後も注意が必要ではありますが、通院や治療のための費用を工面することが大変というイメージが強く持たれています。ですが、ダウン症の子を育てるにあたり、さまざまな行政のサポートを受けることができます。

  • 特別児童扶養手当
  • 障害児福祉手当
  • 小児慢性疾患医療助成制度

これらの助成金を受けられるほか、「療育手帳」や「身体障害者手帳」など、障害や疾患のある方がさまざまな制度を活用するためのサポートもあります。各自治体によって独自の助成を行っていることもあり、産前にしっかりと調べ、申請の準備を行っておくと良いでしょう。

成長について

ダウン症は成長スピードがとてもゆっくりで、ハイハイしたり歩いたりという運動も遅いのが特徴です。これは筋肉の発達がゆるやかなため、通常は4か月前後で首がすわり、1歳前後で歩くという過程も少し後になりますがゆっくり成長していきます。それでも、程度によってはごく普通に小さいうちから保育園に通うことも可能だったり、早期療育によって著しい発達を見せたりと、QOLを高めてあげることはじゅうぶんに可能です。筋肉の発達を促したり、言葉をかけるコミュニケーションを積極的に行うことで、成長のスピードアップを図ることが可能なこともわかっています。

健康管理について

ダウン症は、重い合併症が起こることも少なくありません。出生時にすぐわかるものもあれば、中には成人してから発症するものもあります。

  • 甲状腺機能異常症
  • 高脂血症
  • 難聴
  • 肥満
  • アルツハイマー病など

参照:ダウン症のある成人の健康管理(愛知県心身障害者コロニー中央病院 小児内科)

【http://www.aichi-colony.jp/library/pdf/1_04_downsyndorome_adulthood.pdf】

こうした合併症を完全に防ぐことはできませんが、変化に気づいたときに早急に・適切な処置を受けることで悪化を防ぐことができます。そのためにも、ダウン症の症状に合わせて医師と連携していくことが大切です。

このように、ダウン症の疑いがあったり実際にダウン症だとわかった場合、出産・育児をするにあたってどんな不安があるのかを明確にすることが必要です。その上で、ひとつずつ不安をなくしていくための対策を立てたり、周囲への協力を仰ぐなど具体的な環境つくりをすることで、赤ちゃんが少しずつ成長していくとともに、親も少しずつダウン症の我が子を受け入れるための準備ができるのです。

信頼できる医師とパートナーとの理解を深めよう

「ダウン症の子」として育てるのか、それともこの子はこの子の個性とおもい育てるのか。言うは易しですが、実際に多くのダウン症の方が成長し、学校へ行って友だちを作り、就職して自立し、中には結婚している方もいます。これまでのイメージのみでダウン症について悲観するのではなく、まずダウン症がどのようなものなのかをきちんと理解することが必要です。

NIPTを受けるにあたり、まずは適切なカウンセリングを経て、不安が軽減されたり悩みが解消される機会が多くなることが望まれます。新型出生前診断は、母体にとってリスクなく受けられる検査方法ではありますが、その一方で検査にあたってのメリット・デメリットを理解しなくてはなりません。万全のサポートを受けるためにも、夫婦で話し合って答えを導き出すためにも、日本医学会が認定したNIPT実施施設で検査・カウンセリングを受けるようにしましょう。

育てること、諦めること、産まれてからのこと。夫婦で話し合い、カウンセリングのもと信頼できる医師としっかりタッグを組むことで、親としての心を強くしていくことができるでしょう。

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