NIPT情報関連

検査を待つ妊婦

検査を受ける人が倍増!新型出生前診断の現状について

 NIPTについて

NIPTは妊娠中のお母様の血液を採血し、母体の血液中に含まれるCell Free DNAを検査することによっておなかの赤ちゃんに染色体異常がないかを調べる検査です。

染色体は人間の遺伝情報がつまっており、合計46本(23対)あります。数や構造に異常があると、奇形が現れたり病気になったりすることが分かっています。

NIPTで分かるのは3つの染色体異常

赤ちゃんの染色体異常にはいくつかの病気がありますが、現在、国内の認可の施設ではNIPTで診断できるのは、ダウン症をはじめとする3つの染色体の数の異常に限定しています。

日本では生まれてくる赤ちゃんの3.0~5.0%が、先天性の病気を持っており、そのうち25% が染色体異常によるものであるというデータがあります。特に、胎児の染色体異常の多くはダウン症で占められているので、NIPTには十分な意義があるといえます。

 これまでも、羊水検査など赤ちゃんの染色体異常を確認することは行われていました。一方、羊水検査はお腹に直接注射針を刺して、羊水を採取するため、妊婦さんや胎児にも負担がかかるものです。NIPTは10ml程度の採血で、手軽に行うことができるというメリットがあります。

NIPTを受ける人が倍以上に増加

2013年から日本でも本格的に導入されているNIPTですが、ここ10年で試検査を受ける人が2.4倍に増えています。NIPTを受ける人が増えている背景には、いくつかの要因があります。

1つ目は、国内では、晩婚化を背景に35歳以上の妊娠である「高齢妊娠」が年々増えていることです。最近では、40歳以上の出産も決してめずらしいことではありません。赤ちゃんの染色体異常は、妊婦さんの年齢と相関関係があることから、NIPTに関心を持つ人が増えている可能性があります。

 2つ目は、日本の少子化問題です。日本女性の子どもを産む数は年々減ってきており、少子化が進んでいます。一人っ子だからこそ、健康な子ども授かりたいと考える人が増えるのは自然なことでしょう。

このように、NIPTを受ける人が増えているのは、検査自体が簡単に行えるだけでなく、妊娠・出産の高年齢化や少子化など、日本の社会的な要因も影響しているといえます。

NIPTの検査結果は確定診断ではない

手軽に受けられるNIPTですが、検査が陽性結果となっても、胎児に染色体異常があるとは限りません。NIPT検査の正確性(精度)は。99.9%であるため、実際に、赤ちゃんに染色体異常があるかどうかを確認するには、羊水検査など精密検査で確定診断を行う必要があります。

NIPTにより妊娠後比較的早い段階で、胎児の染色体異常を確認できます。そのため、検査で陽性となったときに、妊娠の継続を望まない人もいます。これは、健康な赤ちゃんを望む人が多いというだけでなく、日本では障がい児を育てる環境が、十分に整っていないことも要因のひとつです。

もともと胎児の障がいの可能性を早期発見するNIPTですが、人工妊娠中絶のきっかけにもなっています。NIPTは「命の選別」を少なからず引き起こしているといえるでしょう。

 

胎児の中絶は母体保護法という法律によって定められていますが、赤ちゃんに病気や障がいがあるときに、中絶をしてよいかの明確な記載はありません。そのため、病気や障がいを抱えている子どもの養育には、ある程度の経済力が必要になる可能性もあることから「経済的理由」によって、中絶が行われています。

 NIPTが急速に広まっていることから、倫理的な見地からも十分な検討が必要といえるでしょう。

NIPTが受けられる医療機関

NIPTが開始された当初、検査を実施いているのはわずか15施設でしたが、平成30年度には90施設にまで増えています。それと同時に、日本産婦人学会から認定を受けていない施設によるNIPTも増えています。

日本産婦人科学会では、NIPTの認定施設を受けることをすすめており、以下のような条件が提示されています。

  • 産婦人科、小児科の専門医がいること
  • 確定診断のための羊水検査や人工妊娠中絶が行えること
  • 遺伝カウンセリングが行っていること

など

NIPTでは遺伝カウンセリングを受けることは必須項目ではありませんが、検査前後に抱えがちな悩みを解決するのに役立つものです。 

一方で、非認定施設による検査の実施が増えている背景は、認定施設のキャパオーバーが要因と考えられています。そのほかにも、NIPTの認定施設の地域格差も要因となっています。

NIPTの認定施設の多くは、中規模以上の都市に集中していることが多く、自分の住んでいる地域にNIPTの認定施設がないケースもあるようです。

非認定施設では、気軽にNIPTを受けられるという特徴があります。検査の結果も、郵送やスマホから確認できるなど、利便性に富んでいるといえるでしょう。

NIPTの結果が陽性になったら

NIPTは、胎児の染色体異常をスクリーニングし、病気の早期発見を行うものです。妊娠期からおなかの赤ちゃんの異常が分かれば、出産後早い段階で治療を開始することも可能です。

その一方で、NIPTで生まれてくる赤ちゃんに染色体異常があることが分かったとき、多くの方が戸惑ってしまうものです。NIPTで陽性が出た場合に、赤ちゃんを堕ろしたいと考える人もいるでしょう。

 特に、最近はスマホやパソコンで手軽に情報を調べる時代です。しかしながら、インターネットだけに頼った情報では、内容が偏ってしまうことがあります。NIPTの結果が陽性になったときは、障がいを持つ子どもに関する本を読んでみるのもよいでしょう。

多くの地域では、子どもの染色体異常を抱える家族グループや、障がい児の教育を行う「療育保育園」があります。NIPTでおなかの赤ちゃんに染色体異常が見つかり、今後どうすればよいのか悩んでいるときは、これらの場所に足を運んでみるのもよいでしょう。

最初は誰もが「自分に障がい児を育てることはできない」と不安を抱くものです。自分の目で障がいを持つ子どもの様子を見たり、障がい児の家族から体験談を聞いてみれば、障がいと子どもの幸せ、そして自分の考えを明確にすることができるはずです。

そのうえで、障がい児を育てる現状を把握し、どのような道を選ぶのか判断するようにしましょう。

まとめ

日本では結婚や出産の高齢化が進んでおり、NIPTで事前に赤ちゃんの染色体異常がないかについて関心を持つ人が増えています。統計からみれば、生まれてくる赤ちゃんが染色体異常である確率は低いものですが、検査により胎児の染色体異常の可能性が見つかることもあります。

 検査を受けた人のなかには、「事前に赤ちゃんの病気が分かって、心の準備ができた」と、NIPTを肯定的に捉える人もいれば、「赤ちゃんの障害を知らない方がよかった」と後悔する人もいます。

NIPTを受けることは、大きな選択を迫られることがあります。NIPTを受けるときは、おなかの赤ちゃんに染色体異常が見つかったときに、どうするかを考えておくことも大切です。

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