NIPT情報関連

選択

出生前診断でわかること、またその後の選択肢として

新型出生前診断陽性による中絶は9割

「新型出生前診断陽性による中絶は9割」

この言葉を今まで耳にしたことはないでしょうか?衝撃的な内容ですが、新型出生前診断が2013年に日本で始まって以来、5年間で6万5000人以上の妊婦の方が受け、陽性が確定した方達約900人の9割が中絶を選択したというデータがあります。

検査により何がわかるのか?実際に中絶はどのように行われるのか?人工中絶をした後のケアはあるのか?など疑問に思われる方も少なくありません。

以下に詳しく説明しますので、参考にしていただければと思います。

年齢ダウン症の発生率
201/1538(0.65%)
251/1250(0.8%)
301/840(1.19%)
311/741(1.35%)
321/637(1.57%)
331/535(1.87%)
341/441(2.247%)
351/356(2.81%)
361/281(3.56%)
371/217(4.60%)
381/166(6.03%)
391/125(8.00%)
401/106(9.4%)
411/70(14.29%)
421/52(19.06%)
431/40(25.21%)
441/30(32.86%)
451/24(41.93%)
461/19(52.03%)
471/16(62.32%)
481/14(71.35%)
491/13(78.03%)

実際に初産で妊娠した場合のダウン症の発症率ですが、表にもあるように年齢が上がるにつれ発症率も上昇します。男性の加齢も影響として考えられますが、女性の加齢による影響はより大きいとされています。その理由として女性が高齢になると卵子も老化していくことが考えられます。女性が一生のうちに作り出す卵子は胎児期に形成され、月に一度排卵されます。卵子が卵巣の中にある期間が長ければ長いほど遺伝子情報を作り出す染色体などにダメージが与えられるため、染色体異常が現れる確率があがるということが原因の一つとされています。

検査でわかること

出生前の検査には胎児に何かしらの異常がないかを診断するもので、染色体異常を調べる遺伝学的検査と臓器の異常を調べる超音波検査があります。2013年より新型出生前診断(NIPT)が新しく加わることによってより高精度な検査を受けられるようになりました。

遺伝子学的検査

遺伝子学的検査には病気の有無の確率をみる非確定検査と診断を確定する確定検査の2種類にわかれます。また、非確定検査は少量の採血や腹部エコーなど母体への負担が少なく流産の可能性が低いという特徴があり、確定検査は母体に直接針を刺すなど低いながらも流産のリスクが生じる検査です。

非確定検査
超音波検査

妊娠11~13週頃に行われ、超音波検査にてNT(Nuchal Translucency)とよばれる首の後ろのむくみの厚さや心拍数、血流などを調べます。NTは正常な胎児にも見られますが、通常よりも肥厚が見られた場合ダウン症やそのほかの染色体異常のリスクがあると推定します。

また妊娠18週頃に中期超音波検査が行われ、初回に比べて大脳小脳の大きさや耳の位置など調べられる情報量が増えます。

クアトロ(母体血清マーカー)テスト

妊娠15~17週頃に行われ、妊婦さんから採血した血液中の4つの成分を分析することでダウン症、18トリソミー、開放性神経管奇形である確率を調べます。

新型出生前診断(NIPT)

妊娠10~22週に受けることができ、母体の採血を検査することより胎児の染色体異常を調べる検査です。胎盤の中に胎児のDNAが混ざっており、そのDNAを調べることで13トリソミー、18トリソミー、21トリソミー(ダウン症)の可能性を調べることができます。検査対象者ですが、原則として出産予定日の年齢が35歳以上や2親等以内に染色体異常の人がいるなどの条件があげられます。

確定検査

それぞれ染色体異常全般を対象としていて、非確定検査が陽性の場合または超音波検査で異常が見つかった場合、より正確な情報を得るために実地されます。またどちらの検査も基本的には確実な結果となります。

絨毛検査

妊娠10~13週頃に受けることができ、胎児の位置により妊婦さんのお腹または膣を通して針または管子により絨毛を採取し、染色体の異常の確定を行います。結果まで3週間ほどかかることがあります。

羊水検査

妊娠16~17週頃に受けることができ、妊婦さんのお腹に直接針をさし、羊水を抜き取って胎児の染色体に異常がないかを調べます。結果まで4週間ほどかかることがあります。

技術を必要とするため、絨毛検査よりも羊水検査を行っている医療機関のほうが多いとされています。

人工中絶

もし中絶の選択をした場合、母体保護法(不妊手術または人工妊娠中絶に関する事項が定められており、母体の生命や健康を保護することを目的にしたもの)により22週未満(21週6日)までに行わなければならず、母体保護法で指定された医師でなければ中絶手術はできません。

中絶は妊娠初期(12週未満)と妊娠中期(12~22週未満)とで方法が異なります。

初期の場合
吸引法

機械により吸引をかけて吸い出す方法。手術時間は短いが、感染症を防ぐため滅菌消毒時間に時間がかかる。

掻把(そうは)法

特殊なハサミ状の器具により内容をかき出す方法。機械がシンプルで感染症の可能性も低いため、国内ではほとんどの病院でこちらの方法が用いられている。

共に数時間ほどで、日帰り手術となっています。

中期の場合

12週以降は人工死産という扱いになり、人工的に誘発剤により通常分娩と同じように出産します。手術ではなく陣痛を起こして出産形式で中絶を行います。何日も時間がかかったり胎児が出てからも子宮の戻りを確認する必要があるため3~5日の入院が一般的です。

また妊娠12週以降では、7日以内に死産届を役所に提出し、火葬による埋葬が義務付けられています。

また、中絶手術はほとんどの場合健康保険がきかず、自己負担となります。

  • 10週未満で13~15万円程度
  • 10~11週で15~20万円程度
  • 12~15週で21万円程度
  • 16~21週で44万円程度

その他に中期では届け出処理のための費用や入院費用がかかり、診察した時の週数や胎児の大きさにより異なります。

中絶を選択した場合

NIPTが施行されて以来、精度が高く少量の採血で済むという点から受ける人数も年々増えています。冒頭にもありますが、2013年以来6万人以上が診断を受け、陽性反応を示した妊婦さんのうちの約9割の方が中絶を選択しました。

障害の差別や偏見、出産したあとの経済的・心理的負担、そしてダウン症に対する無知からくる不安のため、中絶を選択する方は少なくありません。

妊婦検診を行っている医療機関で中絶手術を行っていなく結果に振り回され、短期間で選択をせまられることがあったりと中絶は身体的にも肉体的にも負担がかかり、その結果心が崩壊して鬱状態が続く方もいらっしゃいます。

今はSNSなどで同じような境遇の人達の声を身近に聞けるようになりました。最終的に決定するのはご自身またはパートナーとの話し合いによってですが、医師やカウンセラーなどの専門家や同じ境遇の人達に助けを求めることはとても大切なことです。

まとめ

NIPT等の出生前診断を受けられる施設が増え、また検査の精度も上がって胎児の異常が早期からわかるようになりました。しかし医療機関によっては結果を郵送のみで済ませたり異常が見つかった場合や中絶を選択したあとにアフターケアのない施設も存在します。どこに誰にどのように相談すればよいのかわからず、中絶できる周期を過ぎてしまったり、中絶を選択することで罪悪感から心の病を患う人も少なくありません。

また社会としても、障害をもつ人に対しての受け入れ態勢がまだ整っていないことが現状です。

NIPTは中絶を助長するともいわれていますが、他人に個人の判断を決める権利はありません。社会としても中絶、出産どちらを選択しても生きづらくない世の中に進んでいくことを願うばかりです。

参考文献

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