ダウン症候群関連

最も割合の高い染色体異常―ダウン症児を取り巻く環境について

染色体異常についてよく知らない人でも、ダウン症という言葉を聞いたことがある人も多いはず。自分の子どもがダウン症と分かったとき、どのような印象を受けるでしょうか?ダウン症の見た目の特徴を知っている人でも、そのほかの特徴についてよく知らない人が多くいます。

この記事ではダウン症の特徴や病気を取り巻く社会環境について紹介します。これから新型出生前診断(NIPT)を受けようと考えている人は、参考にしてみてください。

染色体異常で最も多くを占めるのがダウン症

近年、日本でも出産の早い段階で胎児の新型出生前診断(NIPT)が行われるようになりました。現時点で、日本では倫理的な観点から、NIPTはできる妊婦には条件があり、検査で分かるのは3つの染色体異常に限定しています。

この3つの染色体異常に含まれているのが、ダウン症です。特に、染色体異常による病気のなかでも、ダウン症が53%占めるという報告もあります(※1)。 

採血だけ済むNIPTはその手軽さから、検査を受ける人が増えています。その一方で、NIPTを通して、胎児にダウン症など染色体異常の可能性が分かると、人工妊娠中絶を選ぶ人も少なくありません。 

NIPTの統計によれば、以下のような結果になりました(※2)。 

  • 高齢出産を控える女性を中心に7740人にNIPTを実施。検査では142人が陽性となり、うち126人が精密検査を実施。
  • 精密検査を受けた人のうち、染色体異常が判明したのは113人で、うち69人はダウン症が判明。その後110人が人工妊娠中絶を選んだ。

胎児が病気であると分かったとき、不安や怒りなどさまざまな感情に襲われるものです。胎児がダウン症の可能性があるなど、NIPTを通して大きな決断をしなければいけないとき、どのような病気であるか、また子どもにどのような未来が待っているのかを知ることが大切です。

そもそもダウン症とはどんな病気なのか?

ダウン症は染色体数の異常によって起こる先天性の病気です。染色体は23対あり、ダウン症は21番目の染色体が1つ多いことから、21トリソミーといわれています。

 ダウン症の特徴

ダウン症は、成長の障害、筋肉の緊張の低下、特徴的な顔つきがみられます。また、ダウン症になると、心臓の奇形や消化管の奇形、耳や鼻、目などの病気を合併することも。

 ひと昔前までは、ダウン症を抱えている人は寿命が短いといわれていました。しかし、近年になり、医療技術や健康管理が発達したことで、ダウン症を抱えていても長い人生を生きられるようになりました(50~60歳くらい)。

ダウン症と高齢出産の関係

ダウン症と出産時年齢には関係があり、35歳以上の出産では、ダウン症児が生まれる可能性が急激に高くなることが明らかになっています。現代の日本では晩婚化により、高齢出産が増えています。

そのため、胎児のダウン症であると分かったときに、自分自身を責めてしまうことが少なくありません。

ダウン症児を取り巻く環境

わが子がダウン症であると知ったときに、多くの親御さんが戸惑ってしまうものです。しかし、育児を通して不安や怒りなどの感情がわくなか、実感するのがわが子の可愛さです。個人差はありますが、ダウン症を抱えている人は、性格が明るく人なつっこい傾向があるともいわれています。

 ダウン症を抱えている人の中には、何らかの才能を開花させて、スポーツや芸術面で活躍している人も多くいます。

 ダウン症の人のための社会サポート

ダウン症の子どもの多くは、保育園の加配(先生の追加をすること)があります。また、療育のためのクラスを利用しながら、地元の学校の支援学級や普通学級、支援学校へ通います。

ダウン症の人は、知的障碍のある人に与えられる「療育手帳」や身体障碍者手帳を取得することがほとんどです。これらの福祉手帳を取得することで、公共交通機関やタクシーの運賃が割引になったり、税金の控除を受けられます。また、携帯電話の利用料、レジャー施設の入場料も割引になります。

ダウン症を理解するための社会環境

ダウン症児を育てるうえで、子どもの将来について心配している人もいるでしょう。企業の中には、一定の枠を設けてダウン症を抱えている人を雇用する人もいます。

 企業がダウン症を抱えている人受け入れている例

海外ではダウン症の人の 『特徴』を生かしたカフェレストランを運営している国もあります。 日本でも、作業所や飲食店などで多くのダウン症の方が働いています。

ダウン症の程度により、仕事内容はさまざまですが、彼らの間違いをからかったり、クレームを出したりするお客はほとんどいません。病気や障がいを抱える人との違いをあえて見せ、一般社会の中で関わりを持っていくことが、理想の形といえるでしょう。

ダウン症であることを発信することも必要

子どもがダウン症を抱えている場合、なんとなく引け目を感じてしまう人は多いでしょう。これはダウン症児の育児環境が、十分に整備されていないことも原因といえます。社会環境を変えていくには、周囲の人にもっと病気について知ってもらうことが大切です。

 ダウン症の人とかかわるイベント

アメリカの首都ニューヨークで生まれたダウン症の人のためのイベントに「バディウォーク」があります。ダウン症の人と一般の人がともに街中を行進し、ダウン症への理解や社会的な受容、平等への啓もうを行うものです。

日本でも東京でバディウォークが行われており、ダウン症のあるなしにかかわらず、すべての参加者にとって楽しめるイベントとなっています。

 有名人のダウン症に関する発言

最近では、テレビだけでなくインターネットのサイトでも、有名人が生活に対して語る機会が多くみられるようになりました。

彼らの中には、兄弟にダウン症を抱えていることを自然に話している人も見かけます。また、インターネットのブログで、ダウン症児を抱える有名人の母親は、障碍者を取り巻く社会環境に意見することも。

このような有名人の言動には、賛否両論が集まります。一方で、ダウン症を抱える子どもや家族のことを発信することは、病気について知らない人が興味を持つきっかけにもなるのものです。

子どものダウン症について隠すのではなく、オープンにすることで、周囲の人の病気に対する認識は変化していきます。ダウン症を抱える親御さんのできる行動が小さなものだとしても、やがては社会を変えていく力の一部を担うといえるでしょう。

まとめ

ダウン症は、NIPTの陽性で半分以上を占めるといわれる染色体異常です。ダウン症の名前を知っていても、イメ―ジが先行して実際の特徴を知られないままでいるのが現状です。NIPTでダウン症が分かったとき、まずはどのような病気であるか知るようにしましょう。

また、ダウン症の子どもを育てるときは、社会の一員として積極的にかかわっていく姿勢も大切です。 

参考サイト

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