ダウン症候群関連

エコーで見えるダウン症の特徴とは?

ダウン症の正式名称は「ダウン症候群」です。

2組1対の計46本ある染色体のうち、21番目の染色体が1本増えた染色体の突然変異によって起こり、多くのダウン症が「標準型21トリソミー」となります。

ダウン症は生まれつき見られる症候群であり、「エコー検査を通して、妊娠している間からダウン症かどうかがわかるのでは?」と思う人も多いはずです。

この記事では、エコー写真でダウン症であるかどうかがわかるのか、エコー写真で見えるダウン症の特徴などを解説します。

エコー写真でダウン症はわかるの?

エコー検査でダウン症の特徴を観察することは可能です。

しかし、その結果から「ダウン症」であると確定的に診断することはできません。

妊婦さんの血液を採って検査をする母体血清マーカー検査(クワトロテスト)や新型出生前診断(NIPT)、診断をより確定的にする羊水検査等を受けるかどうかを妊婦さんやパートナーは考えることになるでしょう。

エコー検査とは?

エコー検査とは妊娠週数に応じて、赤ちゃんが元気がどうか、成長過程に正常から逸脱したところがないかを確認するために行う、超音波検査をさします。

現在、よく使われているのが2D(Two Dimensional)の平面的なエコー検査で、妊娠初期には膣に器械を入れて検査(経膣法)が行われ、妊娠の中期には経腹法といって妊婦さんのお腹に器械を当てて検査が行われます。

最近では、赤ちゃんが立体的に観察可能な3D(経腹法)や3Dエコーを動画で見ることができる4Dの超音波検査も行われていることをご存知の方も多いに違いありません。

いずれの検査でも、ダウン症の特徴を検査で観察することが可能であったとしても、赤ちゃんがダウン症であるとの確定的な診断は行えません。

エコーからわかるダウン症の特徴

エコー検査で赤ちゃんにダウン症の特徴が確認されると、担当の医師より妊婦さんやパートナーにその結果の詳細を告げられることでしょう。

では、エコー検査で確認することができるダウン症の特徴を解説していきます。

首のうしろのむくみ(浮腫)

妊娠初期のエコー検査で見られるダウン症の特徴の1つに、赤ちゃんの頸部(首)のうしろにある皮下組織に観察されるむくみ(浮腫)が挙げられ、むくみの部分の画像は黒く抜けて観察されます。

むくみは英語のNuchal Translucencyの略語として「NT」や正式名称として「胎児後頸部皮下透明領域」とも呼ばれ、診察のときは「エヌティ」という言葉を妊婦さんも耳にすることが多いです。

むくみがなぜ観察されるのか

初期の妊娠中に観察される頸部後方のむくみは、実はすべての赤ちゃんに見られる生理的にある現象です。

まだ体の循環機能が未発達のため、一時的に血液やリンパ液の流れの悪化がみられ、妊娠11週〜13週ころの赤ちゃんに発育ともにむくみが大きくなる傾向が生じます。

循環機能が発達した妊娠16週〜18週頃には、むくみが自然と消えてしまう赤ちゃんが多いでしょう。

NTを測る妊娠週数はいつ?測り方は?

NTを測る妊娠週数は、正確には妊娠11週0日〜13週6日までの間に行われ、NTの幅が最も大きいところが計測されます。

NTを正確に測るには、下記の条件(赤ちゃんの成長・正確に測るための方法など)を満たすことが大切です。

  • CRL(赤ちゃんの頭からお尻までの長さ)が45〜84mmの範囲である
  • 赤ちゃんの頭と胸がエコー画面の全体に十分拡大して写されている
  • 体を左右等分にする面(正中矢状面)でNTが最も大きい部位を計測している

NTの計測を実施する医師によっても、計測する方法や熟練度によって計測値には違いが出てきます

さらに、赤ちゃんの首が過度に伸びた状態だとNTは厚く、逆に首が曲がった状態だとNTが薄くなり、正確にNTを測ることが難しい場合も出てきます。

ダウン症が疑われるむくみとは

検査で観察したむくみの計測値が、妊娠の初期から後期にかけて大きくなるほど、染色体の異常や心臓の機能や形態に異常を持つ赤ちゃんの頻度が高くなることがわかっています。

妊娠11週にみられるNTの平均は0.12cm、妊娠14週は0.15cmとなります。

赤ちゃんがダウン症である確率は、NTの計測値以外にも妊婦さんの年齢が上になるほど高くなります。

繰り返しとなりますが、NTの値が大きくてもダウン症とは違う別の病気の可能性がある、染色体などの異常が見られない赤ちゃんも多く存在するといったことがあるのを忘れてはいけないでしょう。

NTを調べる検査はダウン症の確定的な診断にはならず、さらに羊水検査などが必要となります。

手足の長さが一定水準より短い

エコーで見られる赤ちゃんの手足の長さが、一定の水準よりも短いときにもダウン症が疑われる特徴となります。

とくに基準となるのがFL(大腿骨長)といわれる、赤ちゃんの大腿部(太もも)の骨の長さです。

FLが短いと赤ちゃんの発育が遅かったり、染色体異常や骨系統の疾患を持っていたりする可能性が考えられますが、NTの値を測るときのように染色体異常を持っていない赤ちゃんであることも少なくありません。

一方で、ダウン症をはじめとする染色体に異常を持つ赤ちゃんには、身長に対して手足が明らかに短い・手足の奇形などがみられることも多くなります。

頭が大きい

赤ちゃんの頭の大きさでダウン症を推測することも可能となります。

頭の大きさの判断には、頭の骨の横幅(BPD=Biparietal Diameter)を測ることで、ダウン症の可能性を推し量ることも可能ですが、頭の横幅よりも縦の長さであるFOD(=Front Occipital Diameter)が短くなる傾向も指摘されており、それがダウン症であるかどうかの可能性を図る判断材料になるとも言われています。

頭の大きさを測るときには、正確な計測の見方として、頭の横幅と縦幅の値の2つの平均の値が、妊娠初期から後期にかけて大きくなっていくと、ダウン症が疑われる要因になります。

心臓の病気

約半数のダウン症の赤ちゃんは、心臓に病気がみられると言われており、エコーにおいて心臓の音や形に異常があればダウン症の可能性が考えられます。

具体的にみられる症状として、心臓内にある三尖弁(右心房と右心室の間にある弁)に血液の逆流があると、先天性の心臓疾患を疑います。

以上のような状態が、妊娠11週〜13週にかけて赤ちゃんに観察されると、ダウン症の確率が高まります。

さらに、赤ちゃんの心臓を詳しく検査するには「胎児心臓エコー検査」と呼ばれる、心臓超音波精密検査が行われます。

特徴的な顔

エコーでは、ダウン症の赤ちゃんに特有の顔が見られることも挙げられます。

とくに鼻の骨がエコーで見られるかどうか、骨化に遅れがみられないかなどをみていきます。

鼻の骨が見られない・鼻の骨が薄い・鼻の骨の成長に遅れある、CRL(頭からお尻までの長さ)が45〜84mmまで成長したときのエコーで鼻の骨が見られないといった状況だと、ダウン症である確率が高まります。

ただ、CRLがまだ小さい場合は、CRLがさらに大きくなった時点で再度検査を行って観察することになるでしょう。

他に見られる顔の特徴としては、顔全体が平坦・表面的であったり、唇が見えず口が曖昧な形であったりする場合も、ダウン症が疑われることもあります。

まとめ

この記事で解説したダウン症の赤ちゃんに見られる特徴がエコーで見られても、その特徴だけを判断して、ダウン症と確定するわけではありません。

検査を行った医師からダウン症の特徴を告げられたら、検査結果の意味やこれから希望すれば受けられる、次の検査の説明などをしっかりと受けましょう。

次の検査として挙げられるのは、母体血清マーカーテスト(クワトロテスト)、新型出生前診断(NIPT)、羊水検査などが挙げられます。

パートナーともよく話し合い、検査を受けるかどうかの意思決定が難しく感じたら、専門の遺伝カウンセリングを受けることもできますので、医師に相談をしてください。

妊娠したら、元気で健康な赤ちゃんを産みたいと思うのは当然のことです。

そのような思いがあるからこそ、健診のエコー検査で赤ちゃんにダウン症の特徴が見られたら動揺することもあると思いますが、過度に心配する必要はありません。

ダウン症の特徴がみられたときに次にできる行動としては、検査の結果を正しく評価し、これからの検査について詳しく説明してくれる医師や遺伝カウンセリングに相談することが最も望ましいといえます。

専門家に相談しながら、妊婦さんやパートナーが納得して検査を受ける・受けないを決めることができるかどうかが、何よりも大切になるでしょう。

参考文献

  • 山田研二他「妊娠初期超音波検査による出生前スクリーニング」杏林医会誌,Vol.48,No.1,2017
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyorinmed/48/1/48_75/_pdf/-char/ja
  • 別所健史他「胎児ダウン症診断における妊娠中期超音波スクリーニングの診断的価値」日本産科婦人科学学会,Vol.47,No.2,1995
    https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10697555_po_ART0002206950.pdf?contentNo=1&alternativeNo=
  • 公益社団法人 日本産科婦人科学会 「NTとは何でしょうか?」
    https://www.jaog.or.jp/sep2012/JAPANESE/jigyo/SENTEN/kouhou/NT01.htm
  • 公益社団法人 日本産科婦人科学会 先天異常部よりNT(Nuchal Translucency)について
    https://www.jaog.or.jp/about/project/document/nt-(nuchal-translucency)について-(医療者向け)
  • クリフム夫律子マタニティクリニック 胎児診断センター・胎児脳センター「胎児の首のむくみ(NT)」
    https://fetal-medicine-pooh.jp/fetal-medicine/learningf-m/nuchal-translucency/
  • 日本胎児心臓学会 出生前診断について「先天性心疾患の出生前診断について」
    https://www.jsfc.jp/diagnosis/
  • 出生前診断のこころえ「超音波でダウン症かも…診断されるケース」
    https://www.prenataltest-knowledge.com/prenataldiagnosis/downdisease/case.html
  • 兵庫医科大学病院 産婦人科 出生前診断のご案内 「母体血清マーカー検査(クワトロテテスト)とは」
    https://www.prenatal-diagnosis.org/検査方法の選択/母体血清マーカー検査/
  • 公益社団法人日本産科婦人科学会 公益社団法人日本産婦人科学会「産婦人科 診療ガイドラインー産科編2017」
    http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2017.pdf
  • NHKハートネット 福祉情報総合サイト「「新型出生前診断」とどう向き合う?」
    https://www.nhk.or.jp/heart-net/new-voice/19/?page=4
  • Yotsuba「エコー写真の見方を妊娠時期別に解説!保存方法や性別・ダウン症を判断できる方法も」
    https://akanbo-media.jp/posts/13342
  • Yotsuba「【医師監修】ダウン症はエコー写真でいつからわかる?特徴は?画像や体験談も!」
    https://akanbo-media.jp/posts/271
  • MSDマニュアルプロフェッショナル版「ダウン症候群(21トリソミー)」
    https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/19-小児科/染色体異常と遺伝子異常/ダウン症候群(21トリソミー)

関連記事

  1. NIPTで早期発見できる性染色体異常「クラインフェルター症候群」

  2. Angelman 症候群の原因と症状、臨床診断および治療薬の情報

  3. 母親の年齢および妊娠週数との関係における21、18および13トリソミー…

  4. ダウン症の人らの生活実態

  5. 最も割合の高い染色体異常―ダウン症児を取り巻く環境について

  6. 悲しみの末の決断

    NIPTと今後の決断、「命の選別」で揺れる親心と医師の葛藤とは

PAGE TOP