ダウン症とは

現在日本でのダウン症の方は8万人、発症率は700人に1人といわれています。

高齢出産だとダウン症の確率が高くなる、遺伝するなどといった情報もよく耳にするのではないでしょうか。

妊娠期間中どのくらいの時点で判明するのか、どういった特徴が見られるのか、またエコー写真からダウン症を見抜くことができるかなど詳しくご紹介しますので、参考にしていただければと思います。

ダウン症とは

そもそもダウン症とはどのような症状かご存知でしょうか?

人の染色体は23対46本で、2本で対になっています。分離する際に何らかの原因で分離がうまくいかなかったり、通常では起こらない転座(染色体の一部が他の染色体の特定部位に移動し結合すること)により21番目の染色体が1本余分に増え3本(トリソミー)になることから『21トリソミー』とよばれます。

なお、18番トリソミーは95%が自然流産で生存率は1歳以上の生存率は5~10%、13番トリソミーでは、臨床的に重症で半数が1か月以内で1年未満の生存となります。それ以外の染色体ではより重要な遺伝情報が多いため染色体異常となった場合ほとんどが早期に流産することが多いです。

また染色体の構造によって標準型、転座型、モザイク型が存在します。

 標準型:

全体の90~95%を占めます。両親ともに健康的で染色体に異常はありませんが、染色体がうまく分離できず、21番目の染色体が3本になることで発現します。

転座型

全体の約3%を占めます。21番目の染色体のうちの1本が他の染色体にくっつくことで発現します。年齢に関係なくどちらかの親(特に母親)がダウン症を発症する染色体を保因することにより、ダウン症が遺伝することが原因です。

モザイク型

全体の約1~2%を占めます。21番目の染色体が通常の2本と異常な3本とで混ざった状態で構成され、発現します。正常細胞と異常細胞が混ざっているため、ダウン症の中でも障害が軽度であることが特徴です。

ダウン症の症状

成長面や発達面など全身にみられます。

共通の身体的特徴として、

  • 顔の中心部が成長しないのに対して顔の外側が成長することから、吊り上がった小さい目と低い鼻
  • 全体的に平坦な顔貌
  • 耳の位置が低い
  • 厚い唇と分厚い舌
  • 頬が丸い
  • あごが未発達
  • 筋肉量の低下により身体がやわらかい
  • 体は小柄
  • 髪の毛がウェーブではなく直毛で薄い

 また成長・発達面としては

  • 筋肉量の低下により発声がしづらいことから言語発達の遅れや積極性に欠けた様子
  • 語尾だけを発声したり、抑揚のない話し方

また合併症としては

  • 軽中度の知的障害
  • 心臓(心内膜欠損症などの先天性心疾患)
  • 感覚器(難聴、斜視、白内障など)
  • 内分泌(糖尿病、肥満、甲状腺機能の低下・亢進など)
  • 青年期以降にストレスによるうつ、早期退行
  • 40歳以降からアルツハイマー病が高確率で起きる

といった特徴が見られます。

ダウン症は染色体異常のため、根本的な治療法はありません。心疾患や合併症などの対症療法で治療を行います。

エコーからわかる特徴とは

エコー検査とは

エコー(超音波)検査とは胎児がどのくらい成長しているか、異常はないかを調べる検査で、一般的に妊娠10~14週ごろ(初期超音波検査)、妊娠18~20週ごろ(中期超音波検査)、妊娠27~29週ごろ(後期超音波検査)に行われます。

検査方法としては経膣超音波検査(プローブを膣内に挿入)と経腹超音波検査(プローブをお腹の表面にあてる)があり、初期は経膣、ある程度赤ちゃんが大きくなると経腹で検査を行います。

X線などのように被ばくや注射などで妊婦さんの体を傷付けることもなく検査できることが特徴で、体の断面を写し出し骨や内臓などの状態を観察する2Dエコー、2Dの情報をコンピューターで再構築して着色し、立体的な画像として見せる3Dエコー、3Dエコーを動く画像として見せる4Dエコー、白黒の2Dエコーの血液の流れをカラーで写し出し心臓やへその緒の血流状態を見るカラー超音波があります。

エコー検査に見られるダウン症の特徴

検査時にダウン症の胎児に見られる代表的な特徴として、以下のものがあります。 

NT(胎児項部浮腫)・・・胎児の首の後ろにリンパ液が溜まった状態で黒いスペースが見えることがあり、スペースが厚ければ厚いほど(目安は3.0mm以上)NTが厚くない赤ちゃんに比べてダウン症の確率または心疾患のリスクが高くなるとされています。

トリソミーやその他の異常がある胎児では正常胎児に比べてNTが大きくなる傾向がありますが、NTはどの正常な胎児にも見られるものであり、通常より厚くても正常染色体の場合もあったり見えなくても染色体異常の場合があります。

またNTは胎児が横を向いていたり角度によって変わりやすい値のため、2回以上測って最も大きい値を染色体異常のリスク計算に使います。

鼻の骨・・・鼻の骨が見えない胎児は、正常染色体では1~3%、ダウン症では60%に鼻の骨の欠損または低形成が見られます。

静脈管血流・・・へその緒から赤ちゃんのお腹に入り、心臓にまでの血管の途中の流れを計測し、逆流していないかを確認します。正常染色体胎児では3%、ダウン症児では65%に逆流が見られます。

三尖弁血流・・・赤ちゃんの心臓の右心房から右心室に通る血液を計測し、逆流していないかを確認します。正常染色体胎児では1%、ダウン症では55%に逆流が見られます。

手足の長さ・・・ダウン症は合併症として四肢短縮が起きる可能性があります。染色体異常により、体幹に比べて手足の長さが短いという特徴があるため、エコー写真で見られる可能性があります。

また検査時期ですが、11週以前の場合胎児が小さすぎたり臓器が超音波で観察できるほど発達していなく異常を見逃す可能性があるため、医師と相談しながら適切な時期に検査することをお勧めします。

これらの検査値を総合して染色体に異常がないかの可能性を出すことはできますが、超音波検査は確定検査ではないためこれだけでダウン症と確定することはできません。羊水検査などにより確定する必要があります。

羊水検査は妊娠16~17週ごろに行うことが多く、2週間ほどで結果が出るため妊娠20週目くらいまでにはダウン症であるかどうか判明します。

高齢出産とダウン症の関係とは

高齢出産とは35歳を過ぎて赤ちゃんを産むことを指します。

女性が一生のうちに作り出す卵子は生まれた時からすでに卵巣内にあり、月に1回選ばれた卵子が排卵されます。卵子が卵巣の中にある期間が長ければ長いほど卵子の老化も起こり、遺伝子情報を作り出す染色体やDNAなどにダメージが与えられ細胞分裂をする力も低下し、染色体異常が現れるということが原因の一つとされています。

そのためダウン症児の確率も20歳で1667分の1、30歳で952分の1、35歳で385分の1、40歳で106分の1、45歳で30分の1と、年齢とともに上昇します。

また女性だけではなく男性も40歳を過ぎると染色体異常の精子が増え始めるといわれています。射精のたびに数百万個の新しい精子が作られますが、その過程において遺伝コードにエラーを生じやすく、染色体異常が現れるといわれています。

まとめ

エコー検査により、ダウン症の判明はできませんが可能性の判断をすることができます。

検査は必須ではありませんが、万が一妊娠を続けない場合、母体保護法により妊娠22週未満(21週6日)までに手術を受けないといけないという法律もあります。

もしダウン症だったらどうするかの不安を少しでも軽減するために専門の医師に相談し、決められた週数以内に検査を受けることをお勧めします。

参考文献

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