遺伝子とは?

遺伝子とは

新型出生前診断(NIPT)に関係の深い遺伝子は複数存在します。
DNA/染色体/ゲノムと、遺伝子自身とが、新型出生前診断(NIPT)に深く関連するものです。
新型出生前診断(NIPT)の理解を深めるために、このページでは4つの遺伝子について、また、染色体異常・遺伝子異常についてご説明します。

DNA/染色体/ゲノム/遺伝子の基本情報と構造

  • DNA

    DNA

    あらゆる生命はDNAを持っています。
    動物・植物はもちろん、顕微鏡などでしか見えないウィルスや細菌・微生物などにも、DNAは存在しています。
    例えばヒトの60兆にも及ぶすべての細胞にも、DNAが存在しているのです。
    DNAの情報量に基づいて体の細胞、器官、臓器が作られます。

    DNAは4種類の塩基と呼ばれるアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)が、互いに向き合って並んだ二重のらせん構造を持った物質です。
    この4種類の物質の並びを塩基配列と呼びます。

    DNAの中では、互いに向き合った2本のらせん状のテープの上を常にAとT、CとGが決まったペアを作って並んでいます。
    このため、1本のテープがあれば必ずもう一方のテープを作ることができるのです。
    生物はこの原理を使って、親のDNAを子にコピーしています。

    細胞から細胞へ、そして親から子へ同じ性質が遺伝する仕組みを持つ細胞の中にあるDNAは、遺伝のもととなる情報、つまり「体(生命)の設計図」の役割を担っています。
    親と子がよく似た性質を持っているのは、このためです。

  • 染色体

    染色体

    染色体とは、細胞から細胞へ、また次世代へと遺伝情報の伝達を行い、それぞれの細胞の分化や働きの調節を担う物質です。
    遺伝の本体であるDNAがヒストンと呼ばれるタンパク質に巻き付いてできる構造のことを染色体と呼びます。

    DNAがヒストンに巻き付いて染色体の構造をとることでDNAは破壊されにくくなります。
    また、染色体の構造がなければ、細胞分裂の時に遺伝情報として染色体が正しく分配されなくなります。

    染色体の数や種類は生物によって異なりますが、ヒトは父から23本、母から23本の染色体を受け継ぐため、ヒトには合計46本の染色体があります。

    また、染色体に関連する言葉として、相同染色体・2価染色体・性染色体・常染色体という言葉があります。

    ・相同染色体
    相同染色体とは、染色体のうち、互いに同じような形状であり同じような領域の遺伝情報を持つ2本の染色体をセットにして呼ぶ時の呼称です。
    いわゆる父由来・母由来の違いはあれど、同型・同大の染色体のことを指します。
    この相同染色体同士は結合しますが、形や遺伝情報に違いのある染色体同士は結合しません。

    ・2価染色体
    2価染色体は通常の染色体とは違い、減数分裂(有性生殖に関わる細胞を作る際に行われる細胞分裂)の時にみられる染色体です。
    2価染色体は、配偶子(有性生殖に関わる細胞)を効率よく作るために役立っています。

    ・性染色体
    性染色体とは染色体のうち、性別を決定する働きをもつ染色体のことを指します。
    ヒトの場合はX染色体・Y染色体を性染色体として持ちます。
    染色体は1つの細胞に46本あり、そのうち44本は常染色体、残り2本は男女の性別を決定づける染色体です。

    ・常染色体
    常染色体とは、細胞に含まれる性染色体以外のすべての染色体のことを指します。
    常染色体は、性別以外のすべての遺伝的形質を決める遺伝子を持ちます。
    性染色体とは違い、性決定に関する遺伝子は含みません。

  • ゲノム

    ゲノム

    DNAを構成するアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という4つの塩基の並び方が、親から子へと受け継がれてヒトの個性を生み出す遺伝情報が遺伝子ですが、この遺伝情報全体のことをゲノムと言います。

    頭の先からつま先まで、そのすべては遺伝子で形が決まっています。
    体全体の性質を決める遺伝子の一通りのセットがゲノムです。

    わかりやすくプラモデルで例えてみると、遺伝子はパーツひとつひとつの設計図、ゲノムはプラモデル全体の設計図ということになります。

    ヒトの場合はヒトゲノムと呼ばれており、ヒトゲノムの中には様々な情報が記載されています。
    中にはほとんど意味のない領域もあれば、ヒトの体の部品を作るために重要な情報を記録している領域もあります。

    例えば、髪の毛の質(直毛かくせっ毛か)や、耳たぶの大きさ、耳垢の湿り具合にいたるまでが遺伝情報のひとつなのです。

    このような、生命を形作るための情報のすべてをまとめてゲノムと呼びます。

  • 遺伝子

    遺伝子

    遺伝子とは、遺伝情報を持ったDNAのことです。
    親と子はまったく同じではありませんが、よく似ていたり、どことなく似ていたりします。この現象を遺伝と呼びます。そのときに実際に親から子に受け継がれた遺伝情報ひとつひとつが遺伝子です。

    遺伝子はDNA同様にすべての生物に存在しており、ヒトの遺伝子は約22,000個あると言われています。

    遺伝子の実態は、DNAによって書かれた遺伝情報です。
    遺伝子には書かれている遺伝情報とは、タンパク質の情報のことを指します。

    正確には、タンパク質を作っているアミノ酸配列の情報が書かれており、アミノ酸をどのような順番でつなげれば特定のアミノ酸になるのかということが、遺伝子には記録されています。

    タンパク質は生き物を形作ったり、生命を維持したりしていくために必要なものです。
    消化するために必要なアミラーゼやペプシンのような消化酵素もタンパク質ですし、酸素を身体中に運ぶヘモグロビンもタンパク質の一種です。
    タンパク質は非常に重要な物質・情報であるため、遺伝子に遺伝情報として記録されているのです。

染色体異常と遺伝子異常

染色体異常

染色体異常を起こすと、染色体の変異によって様々な病気を引き起こします。
染色体異常は新生児の0.7%に生じると言われており、大きくわけて構造異常と数的異常のふたつに分けることができます。

ここでの注意点は、染色体は両親から受け継ぐものではありますが、必ずしも遺伝しているわけではないということです。
両親の染色体が正常でも、卵子・精子を形成する際、また受精卵を形成する際など、様々な過程で変異が生じることがあります。

「遺伝性疾患」という言葉をよく聞くようになったため、染色体異常は遺伝するものだと考えている方もいるかもしれませんが、必ずしもそうではないということを覚えておかなければいけません。
ただし、遺伝する可能性がゼロというわけではないので、その点も知っておきましょう。

遺伝子異常

続いて遺伝子異常についてですが、染色体異常が遺伝子を準則している構造そのものが大きく変異しているのに対して、遺伝子異常というのは、ひとつの遺伝子が変異することで生じる単一遺伝子疾患、またはいくつかの遺伝子に変異が加わることで生じる多因子遺伝子などがあります。

単一遺伝子疾患はさらに、常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝、X連鎖性劣性遺伝に分類されます。
優性遺伝というのは、一対の遺伝子のどちらか片方が、その異常遺伝子を持つ場合に発症してしまう遺伝形式であり、劣性遺伝というのは一対の遺伝子のどちらも異常遺伝子を持つ場合にのみ発症する遺伝形式を指します。

遺伝子が準則されている染色体が常染色体の場合か性染色体であるX染色体の場合かによって、男女の発症の違いが生じるため、このように分類されています。

遺伝子異常の原因においては、遺伝的要因と環境的要因と、両方があり得ます。

遺伝的要因の場合は、優性遺伝では子の両親のいずれか(または両方)も患者であり、劣性遺伝では、子の両親ともに変異遺伝子の保因者ということになります。

環境要因の中には、放射線・化学物質などの様々なものが含まれ、原因不明のことも多々あります。

小児染色体異常疾患とその種類

前項で記述したとおり、染色体異常疾患は構造異常と数的異常に分けることができます。
構造異常とは、染色体の一部が切断されて違う染色体とくっついてしまったり、ひっくり返ってしまったりと、1本の染色体の中で構造自体が変わってしまう単一異常のことを指します。

一方、数的異常とは、染色体の本数が少なかったり、多かったりする状態のことを指します。
染色体はひとつの細胞に23組ありますが、その一組一組が、母由来の1本と父由来の1本、合計2本から成り立っています。
要するに、ひとつの細胞には46本の染色体があるというのが正しい状態です。

しかし、分裂の過程で2本のところが3本になってしまったり、1本になってしまったりすることもあります。

1本しか存在しない状態をモノソミー、逆に3本存在する状態をトリソミーと言います。
NIPTのページでも少し触れましたが、例えばX染色体が1本しかない状態をターナー症候群と言います。
またX染色体が1本多く、XXYとなっている性染色体トリソミーの状態をクラインフェルター症候群と言います。

常染色体では13、18、21番染色体でトリソミーが生じやすいことがわかっています。
13、18トリソミーの場合は実際のところ自然流産になることが多く、万が一流産に至らなかったとしても、生後1週間以内に半数以上が亡くなってしまい、現在のところ治療法も確立されていません。
なお、21トリソミーはダウン症候群として広く知られています。

ダウン症候群はどのような病気か

染色体異常の中でも特によく耳にする「ダウン症候群」という病気。
なんとなくは想像がつくけれど、どのような病気でどのような症状が出るのかを詳しく知っている方は多くありません。

ダウン症候群とは、21番目の通常なら2本あるところの染色体が、3本存在する「標準型」と呼ばれる状態が非常に多い病気です。
標準型とは何か、まずはそれを説明します。

・標準型
先述した標準型は、ダウン症候群のうち90~95%を占めています。
標準型では母由来の染色体と父由来の染色体が配偶子を形成する際に不均等に分離するために、子の21番染色体が3本になってしまった状態を指します。
この場合、両親の染色体は正常な場合がほとんどです。


・転座型
転座型は、全体の5%程を占めダウン症候群です。
この型では、両親の21番染色体のうち、1本が他の染色体にくっつくことで、一部だけトリソミーになってしまっている状態を指します。
この場合、両親のどちらかが転座染色体を保因していることになります。


・モザイク型
モザイク型は、全体の数%と、ダウン症候群の中でも非常に珍しいパターンです。
人間の体はたくさんの細胞から成り立っていますが、モザイク型では、正常な21番染色体をもつ細胞と、21トリソミーの細胞の両方が混同しています。
モザイク型の場合も標準型と同様、両親の染色体は正常です。


ダウン症候群は遺伝すると思い込んでいる方もいますが、こうして整理してみると両親からダウン症候群が遺伝するのは転座型のみで、全体の5%程でしかないことがわかります。

ダウン症候群の症状

ダウン症候群の場合、主に3つの症状が出ることがわかっています。

・見た目の特徴
ダウン症候群の子の場合、見た目や顔つきに特徴が出ます。
頭がやや小さめで、後頭部が絶壁になっています。
また、両目はやや離れていてつりあがっており、舌は大きめで前に出ているため、口が開きっぱなしになります。


・発達障害
ダウン症候群という病気のせいで外の世界に興味を持ちはじめる幼少期に外的な刺激が不十分なため、筋力の発達の遅れや言語発達の遅れが生じます。
筋力が弱いので、活発性に欠けて見えたり、おとなしい性格に見えたりすることがあります。
話す言葉もはっきりせず、語尾だけを強調したり、抑揚のない平坦な話し方をしたりする場合が多いです。

また、知的な発達障害もダウン症候群の症状として挙げられますが、これはかなり幅広く、一口に知的障害を持っているとは言いにくいです。
自分で日常生活を行うことのできる方や、普通に車の運転ができる方、大学を卒業している方もいます。
一方で、自分では日常生活を送れないほど、知能の発達に障害がある方もいます。


・合併症
ダウン症候群は、循環器・消化器・耳鼻咽喉科・整形外科・血液内科など、多くの科をまたいで合併症を起こす可能性があります。

先天性心疾患の一例として、心臓内を4つの部屋に分けている壁が完全に形成されていない心内膜欠損症・心房中隔欠損症・心室中隔欠損症などの病態が挙げられます。
先天性心疾患は、ダウン症候群のうち約50%にみられます。

また、ダウン症候群は血液のがんである白血病にもなりやすく、ダウン症候群でない方に比べて10~20倍発症率が高いと言われています。
白血病は幼児期の血液検査で白血球の増加、貧血、血小板減少といった結果が出ることで診断されますが、一方でダウン症候群は、固形腫瘍発症の頻度は少ないということもわかっています。

出生前診断にはどのようなものがあるのか

ここまで、遺伝子の基本的構造や染色体・遺伝子の異常についてご紹介してまいりました。
その中でお腹の子供は大丈夫なのか?不安を覚えることがあると思います。
妊婦さんが気に掛ける染色体・遺伝子異常を調べる方法もいくつか種類があります。
それぞれの検査の特徴・実施時期をご紹介します。

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