NIPTに関するコラム

東京衛生検査所とVerinata社における室間再現精度について

室間再現精度とは、試験室を変えて、均質な検体から採取した複数の試料を繰り返し分析する際の精度を指す。本記事では、東京衛生検査所と米国 Verinata Health Incで行った室間再現精度の実験結果についてのまとめ、および東京衛生検査所のNIPT検査が提供する質について公表する。

精度(Precision)

分析法の精度は、均質な検体から多数回採取して得られた複数の試料について、一定の条件に従って測定し、得られた一連の測定値間の一致の程度のことであり、並行精度(Repeatability)、室内再現精度(Intermediate precision)、室間再現精度(Reproducibility)の3つのレベルがある。

室間再現精度(Reproducibility)

室間再現精度とは、異なった施設間で測定する精度の事である。

本記事では今回、弊社東京衛生検査所と米国 Verinata Health Inc(以下、Verinata社)で行った室間再現精度の結果についてまとめる。

自社検査室のNIPT検査(対象:13トリソミー、18トリソミー、21トリソミー)について、分析的妥当性の評価を行うため、東京衛生検査所とVerinata社とで、同一検体を用いた検査を行い結果を集計した。期間は2019年5月から2021年3月までの約2年間、試験には計105件の検体を用いた。

試験の条件は以下の通り

  • 対象妊婦の平均年齢:35.7歳(標準偏差4.7歳)
  • 対象妊婦の平均妊娠週数:12.6週(標準偏差3.2週)
  • 対象妊婦の平均BMI:20.7(標準偏差2.4)
  • 全陰性検体及び、13トリソミー陽性検体のうち1件は両検査室で同時に検査を実施した。
  • その他の陽性検体9件は東京衛生検査所で陽性が判明したものの凍結血漿を結果を伏せた状態で米国へ空輸し、現地でVerinata社が検査を実施した。

結果を以下の表にまとめる。

number of cases of TLthe same result as VH
nagetive9595
21 trisomy44
18 trisomy33
13 trisomy33

※TL;Tokyo Lab. , VH;Verinata Health Inc

陰性検体95件、21トリソミー陽性検体4件、18トリソミー陽性検体3件、13トリソミー陽性検体3件、計105件について、全ての結果は両施設間で一致した(この試験における一致率は100%であった)。

同時に集計したFetal fractionの平均値は東京衛生検査所が10.4(標準偏差3.5)、Verinata社が9.5(標準偏差3.7)であり、こちらも良好な結果が得られた。

以上の結果は東京衛生検査所のNIPT検査が、胎児染色体異常早期診断のための非侵襲的検査のリーディング・プロバイダーであるVerinata社と同等の検査を提供し得ることを示唆している。